推薦図書 2026/3/24 更新
私が読んだ本の中から推薦できる図書を紹介しています
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は1カ月以内
面白かったです。もともと記号接地問題を調べてみようと思って手に取った本でした。オノマトペのことが中心的に書かれているので、最初は読み飛ばしていたのですが、じっくり読んでみると、非常に面白い内容でした。オノマトペを題材にしながら、言語の進化や幼児の言語発達について語られています。言語なのか言語でないのか中間的なオノマトペを媒介にされているのが、興味深いだけではなくわかりやすくなっています。
言語を進化させていった人類、そして、言語というとてつもなく複雑な体系を習得していく幼児は、改めて考えてみると、驚異的なことです。そこから見えてくる言語の本質にいたる本書の構成の緻密さにも感服させられますが、随所にでてくるエピソードや実験によるエビデンスも興味深く、惹きつけられる書でした。
説明というのは、心理学で考えれば認知プロセスです。心理学的な観点は重要です。本書の「はじめに」でこう書かれていました。「表面的なテクニックではなく、もっと本質的な何かを根本から変えなければならないと思い、心理学や認知科学の専門書や論文を読み漁りました。」
にわか勉強で、心理学という専門の権威を振りかざして説得力を増すだけなのかなと思っていたのですが、そうではありません。随所に心理学の専門用語が出てくるのですが、非常に的確にとらえられています。しかも、その用語について簡潔に説明されており、あまり説明しないところがいいのです。私のような心理学者であれば、その用語を滔々と語ってしまい、ポイントがずれてしまうのですが、本書では伝えたいことの流れを壊さないように心理学の専門用語がうまく出てくるのです。
私自身本書を読んで納得させられることがありました。「ゴールを見失わない」ということです。そして、ゴールを達成するために、「話さなくてもいい情報は何か」を考えるということです。私自身、授業でも講演でも、あれもこれも入れようと思って長くなってしまうのです。どこを削るか悩むところです。また、学生や他者が話をしている場面でも、そんなことは今言わなくてもいいのにと思うようなことがよくあります。自分の知っていることをたくさん伝えたいということが空回りしてしまうのです。
大事なのは、今、聞き手の相手は何を求めているのかということです。それに答えられる説明になっていないといけないのです。
この文章を書いていても、長くなってしまっていて、今反省しています。とにかく本書を読んでください。心理学者である私が推薦します。それが伝えたいことのゴールです。
第1章のタイトル“「話せばわかる」はもしかしたら「幻想」かもしれない”というのはインパクトがありました。その通りだと思います。話し合って解決するというのは民主的で素晴らしいことかもしれませんが、話してもわからないものはわからないのです。その根本は、個々人が持っている考え方の枠組みが異なるからです。
コミュニケーションの場面では、理解するための枠組みをもっていて、その枠組みで理解しようとするのですが、その枠組みが個々人で異なるのです。本書ではそれをスキーマと言ってます。異なるスキーマを持っている以上、分かり合えないでしょう。もちろん、スキーマを変えることはできるでしょう。簡単に変えられるものもあるでしょうが、知識が必要であったり、刷り込まれてしまっているようなものはなかなか変えられないでしょう。それだから、話せばわかるは幻想なのでしょう。
それとつながる話として、後半は認知バイアスについて説明がなされています。この内容も面白い内容でした。
言語学者(ご本人は認知科学者と言われかも)がわかりやすく書かれています。おすすめの本です。
著者の甘利先生は、生成AIの基本アルゴリズムの源を世に出したといっても過言ではない。それは本書を読むとわかる。
30年ほど前、私もニューラルネットワークのシミュレーション研究を行い、甘利先生が発起人で発足まもなかった神経回路学会で発表もした。神経回路学会はほとんどが工学者の中、アウェイ感はあったものの、最先端の研究を目にできるわくわく感があった。その学会で、甘利先生が登壇されると会場の雰囲気が一変した。オーラがあり、当時の新進気鋭の若い研究者も目の色が違っていた。甘利先生の言葉を一言一句聞き逃すまいという空気を感じた。
その甘利先生が一般向けに書かれたブルーバックスで、読む価値はある。心理学では馴染みの話も随所に出てくるのでとっつきやすい。数理の話になるとついていけないところもあるが、そこは読み飛ばしてもかまわない(甘利先生も書かれている)。
増補版では昨今のAIの動向について加筆されている。甘利先生は、今の生成AIについて「私を驚嘆させた」と表現されている。生成AIのすごさは素人でもわかる。だが、甘利先生がすごいと感じるには、その重みの次元がはるかに違う。それほど近年のAIの進化は凄まじい。
ただし、心とは何か、意識とは何かは永遠の課題でもある。本書で答えが出てくるわけではないが、是非読んでいただきたい。
ネット上の情報は膨大でその中から自分に必要な情報を探し出すのは大変です。検索エンジンやレコメンド機能などのおかげで、苦労せずに必要な情報をみることができるような仕組みになっています。
でも、その仕組みは一般ユーザーからみるとブラックボックスになっています。そのボックスでは誰かが作ったアルゴリズムが動いているのです。それは、ユーザーが見たいと思う情報を表示させるようなアルゴリズムになっているのですが、ほんとうのところは、ユーザーにいかに注意を向けさせるかであり、アテンション・エコノミーという経済原理が働いています。ユーザーは自分に有益な情報を表示してもらっているという感覚かもしれませんが、ただアルゴリズムに操られているだけなのです。
著者のデジタルマーケティングの仕事経験からの観点、そして研究者として心理学的視点からの考察もあり、興味深い内容でした。
北九州市立大学は、100を超える公立大学の中で3番目の規模を誇りますが、そのルーツは小倉外事専門学校にあり、開学以来国際交流が大きな柱になっていました。その国際交流の発展に長年貢献いただいたのが、本書の編者である山ア勇治先生です。先生は北九大の卒業生であり、北九大の教員として長年教鞭をとってこられました。北九大の生き字引といってもいい方です。
北九大がこれまでにも発展し、多くの大学と国際交流を続けられたのも山ア先生をはじめ多くの先人の努力があったからです。その山崎先生が法学部の矢沢先生と対談し、大学創設の経緯から国際交流におけるご苦労(ご功績?)を語っていただいています。あまり知られていない裏話も含め、朝ドラになってもいいような展開もあります。対談形式ですので、非常に読みやすく、北九大の歴史が見えてきます。
「刊行によせて」という文を書かせていただきましたが、ここは読み飛ばしていただいて、山ア先生の語りを楽しんでください。
オンデマンド出版ですので、本屋には置いてません。Amazonで購入してください。